いわゆる夢小説。しかし名前変換が無い。そしてファンタジー。
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この世界には、”夜”が無かった。
日が暮れることがなく、空にはただ太陽だけが在り続ける。
明るく美しい世界。けれど、夜の無い世界は、少しずつその姿を狂わせてゆく。
たとえば自然を、たとえば人の心を、じわりじわりと狂わせてゆく。
だからこそ全ての人が夜を求め、どうにか夜を取り戻せないものかと悩んだ。
そう、この世界には元々夜が無かったわけではない。
昔々、遠い過去の日、たしかに夜はこの世界には存在したのだ。
けれどいったいいつの日からになるのだろうか、夜が消え、太陽の輝くときだけが存在するようになってしまったのである。
夜が消えたときも、その理由も、誰も知らない。
人々が求める夜。それは深い深い黒をしている。
黒は夜の色。黒は高貴なる色。黒は尊ぶべき色。
よって、体に―――たとえば瞳に、そしてたとえば髪に黒を持つ者は、生まれてすぐに王宮へと召し上げられた。
そして彼らは、その色ゆえにこう呼ばれた。
その色に敬意を込めて、ヨル、と。
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