いわゆる夢小説。しかし名前変換が無い。そしてファンタジー。
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そうして桜乃という元ヨル様による魔術講義を散々受けてウン日。
やっと聖歌祭の2日前となり、私はようやく、部屋の外に出してもらえることとなった。
というのも、今日は顔合わせのための会合が開かれるらしいのだ。
会合と言っても、単なるラフな立食パーティーみたいなものらしいけれど。
聖歌祭にスタッフとして―――という言い方をするのか微妙なところだけど―――参加する人は多くいて、その一部の人間で顔合わせというか前夜祭のものをするらしい。
どうやら榊様はそこでとりあえず一度私の顔見世をしたいらしく、そのためのドレスが今眼の前にあるのだが……
「私はこんなものは着ません」
きっぱりと言い放つと、榊様は何故と問うてきた。
何故も何もあるか!と拳を握る。
目の前に用意されたドレスは2着。
真っ白の、ウエディングドレスかと見紛うような豪奢なドレスと、真っ赤な、やっぱり豪奢なドレス。
こちらの世界の現在の流行を存分に取り入れた、レースとフリルがたっぷりと使われたドレスだ。
私だって、もし自分の結婚式だったらこのくらい派手なものを着てみてもいいけれど、今夜のはただの軽い立食パーティーという話ではないか。
こんな派手なものを着ていったら間違いなく浮くだろうと眉を寄せる。
榊様は女性は皆このような格好だと言うが、私だって十年間近くもこの世界を見ているのだ。ただの立食パーティーでこんな派手なものを着ている人は滅多に居ないことくらいはちゃんと理解している。
これが王宮主宰のダンスパーティーとかならこのドレスでも頷けるけれど。
絶対に着ない、と言い張ると、榊様は溜息を吐いて桜乃にもう一着のドレスを持ってくるようにと命じた。
桜乃ははいっと元気な返事をして、先程榊様が抱えてきた箱の一つを空け、中身を取り出した。広がったのは、黒に近い紺色のシンプルなドレスだ。
こちらの世界で主流の、とにかく胸を目立たせてウエストはぎゅっと絞って、というものではない。
ふんわりと柔らかそうな生地で出来ていて、胸元からウエストにかけて、細かな刺繍が施してある。
ウエストでリボンを結ぶらしく、同色の絹のリボンが用意されていた。
裾は長く、私が着たら多分少し引きずる気がする。
この世界では、これほど丈の長いドレスは少なく、基本的にはくるぶしが見える程度の丈のものが多かったはずだ。
歩く度にちらちら見える華奢なくるぶしが女性らしさの証らしい。
くるぶしに女性らしさを見出すとは、所変われば人変わるものである。よく分からない趣味だ。
とにかく、珍しい長い裾部分には、まるで夜空に浮かぶ星のようにきらきらと輝く石が縫い付けられている。
布地が紺色だからか、本当に星空のようだ。
着るのも楽そうだし、ちょっと動きにくそうだがそれなりに可愛いし、目立たなさそうだし。
ということで、私はこれにしますと大きく頷いた。
榊様はそうかと軽く頷き、桜乃と朋香に「では今夜はこれを着せてやってくれ」と指示している。
胸を張っての外出は、この世界に来て初めてのことだ。
今回の顔見世でしばらくは「新しいヨルだ」「しかも女性のヨルだ」と、しばらくは騒がれるだろうが、その騒ぎもひと月もすれば静かになるだろう。
なんて、簡単に考えていた私は、うっかり忘れていた。
そもそもヨル自体がとんでもなく希少価値が高く、その中で女性といえば10人にも満たず、ついでに双黒は今のところ闇騎士しか居なかったなんてこと、しばらく現世から離れて一人だらだらと引き篭もらされていた私は、本当にすっかり忘れてしまっていたのである。
やっと聖歌祭の2日前となり、私はようやく、部屋の外に出してもらえることとなった。
というのも、今日は顔合わせのための会合が開かれるらしいのだ。
会合と言っても、単なるラフな立食パーティーみたいなものらしいけれど。
聖歌祭にスタッフとして―――という言い方をするのか微妙なところだけど―――参加する人は多くいて、その一部の人間で顔合わせというか前夜祭のものをするらしい。
どうやら榊様はそこでとりあえず一度私の顔見世をしたいらしく、そのためのドレスが今眼の前にあるのだが……
「私はこんなものは着ません」
きっぱりと言い放つと、榊様は何故と問うてきた。
何故も何もあるか!と拳を握る。
目の前に用意されたドレスは2着。
真っ白の、ウエディングドレスかと見紛うような豪奢なドレスと、真っ赤な、やっぱり豪奢なドレス。
こちらの世界の現在の流行を存分に取り入れた、レースとフリルがたっぷりと使われたドレスだ。
私だって、もし自分の結婚式だったらこのくらい派手なものを着てみてもいいけれど、今夜のはただの軽い立食パーティーという話ではないか。
こんな派手なものを着ていったら間違いなく浮くだろうと眉を寄せる。
榊様は女性は皆このような格好だと言うが、私だって十年間近くもこの世界を見ているのだ。ただの立食パーティーでこんな派手なものを着ている人は滅多に居ないことくらいはちゃんと理解している。
これが王宮主宰のダンスパーティーとかならこのドレスでも頷けるけれど。
絶対に着ない、と言い張ると、榊様は溜息を吐いて桜乃にもう一着のドレスを持ってくるようにと命じた。
桜乃ははいっと元気な返事をして、先程榊様が抱えてきた箱の一つを空け、中身を取り出した。広がったのは、黒に近い紺色のシンプルなドレスだ。
こちらの世界で主流の、とにかく胸を目立たせてウエストはぎゅっと絞って、というものではない。
ふんわりと柔らかそうな生地で出来ていて、胸元からウエストにかけて、細かな刺繍が施してある。
ウエストでリボンを結ぶらしく、同色の絹のリボンが用意されていた。
裾は長く、私が着たら多分少し引きずる気がする。
この世界では、これほど丈の長いドレスは少なく、基本的にはくるぶしが見える程度の丈のものが多かったはずだ。
歩く度にちらちら見える華奢なくるぶしが女性らしさの証らしい。
くるぶしに女性らしさを見出すとは、所変われば人変わるものである。よく分からない趣味だ。
とにかく、珍しい長い裾部分には、まるで夜空に浮かぶ星のようにきらきらと輝く石が縫い付けられている。
布地が紺色だからか、本当に星空のようだ。
着るのも楽そうだし、ちょっと動きにくそうだがそれなりに可愛いし、目立たなさそうだし。
ということで、私はこれにしますと大きく頷いた。
榊様はそうかと軽く頷き、桜乃と朋香に「では今夜はこれを着せてやってくれ」と指示している。
胸を張っての外出は、この世界に来て初めてのことだ。
今回の顔見世でしばらくは「新しいヨルだ」「しかも女性のヨルだ」と、しばらくは騒がれるだろうが、その騒ぎもひと月もすれば静かになるだろう。
なんて、簡単に考えていた私は、うっかり忘れていた。
そもそもヨル自体がとんでもなく希少価値が高く、その中で女性といえば10人にも満たず、ついでに双黒は今のところ闇騎士しか居なかったなんてこと、しばらく現世から離れて一人だらだらと引き篭もらされていた私は、本当にすっかり忘れてしまっていたのである。
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