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いわゆる夢小説。しかし名前変換が無い。そしてファンタジー。
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起きろ、起きろ、起きろ~と念を込め、闇騎士を見下ろす。
そうしてから、やはりこちらも念を込めて、口を開いた。
『起きなよ、闇騎士』
このままここで寝てると死ぬよ。
そう言って闇騎士を見下ろすと、まるで声が聞こえたかのように彼は目を開ける。

不思議だなあ。昨日といい今日といい闇騎士には私の声が聞こえているようである。

ぼうっとしたまま、彼は身を起こす。
その途中、傷が痛んだのか、少しばかり眉根を顰めたが、それでもゆっくりと起き上がって、息を吐いた。
「……俺はまだ死んでないのか」
零された言葉に、こいつまさか自殺希望者か、と首を捻る。
けれどもしそうだったとして、このままむざむざと死なせるのは絶対にごめんだ。
私は彼に近付いて、よいせとしゃがみこみ、視線を合わせた。

『生きてよ』
聞こえていないだろうけれど、そう言葉を紡ぐと、闇騎士は驚いたように目を見開いた。
「……やはり俺は死んだのか?」
私の姿をじろじろと不躾に見つめながらそう言った闇騎士には、どうやら、私の姿が見えるようだった。

わあわあ何てこと!すごい!すごいぞ!昨日のは偶然なんかじゃなかったのだな!

初めての経験に、私は思わず口を開いた。
『見えるの?!本当に?!』
すごーい!と万歳すると、闇騎士は「夜の女神はもっとしとやかで美しいのかと思っていた」なんて呟いた。
むっ!今、何やら失礼な発言が無かったか?
『どこからどう見ても私はしとやかで美しいでしょうが!だいたい、誰が夜の女神だって?それは御伽噺の中の人物でしょ。闇騎士には私がそんなものに見えるわけ?』
馬鹿にしたように見下ろしてそう口にすると、闇騎士はムッと眉を顰めた。

「瞳も髪も漆黒で、身に纏うのは禁色の黒。―――女神で無いなら、何だというんだ」
それに、身体が透けている。
そう付け加えられた言葉に、ぎょっと目を見開く。

『私って透けてるんだ!』

へー!へー!と声を上げると、闇騎士はこっくりと頷いた。
その仕草は何だか子供っぽくて、可愛い。
それにしてもやっぱり顔色が悪いな。眉を顰めて『大丈夫?』と尋ねると、闇騎士はきょとんとした。
何のことだ?と言わんばかりの表情に、呆れた溜め息を落とし、腕に触れる。
勿論、触れることは出来ないから、すっと通り抜けてしまったのだけれど。

『腕にも足にも傷がある』
「このくらい、何とも無い」
『だったら、さっさと街に下りたほうがいいよ。昨日から何も食べてないでしょ。お腹減るよ!それにさあ、何とも無いって言っても、腕にも足にも傷だらけでしょ。ばいきん入ったらひどくなるよ』
畳み掛けるようにそう言うと、闇騎士は目を白黒させて「だが、」なんて口にした。

「だが、足が折れたらしい」
しかも両足。加えられた言葉に、私は呆然として、そうしてから震える唇を開いた。

『バッ、馬鹿かあんたー!』

受身くらい、取れなかったの?!



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